楽しい投資研究所の旅日記

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ケルン旅行記 [1] ケルン大聖堂

  • ドイツのケルンに入った。アムステルダムからICEで3時間弱。前にケルンを訪れたのは2003年の夏。今回は二度目の訪ケルンである。
  • ケルンの顔、大聖堂 "DOM" には十四年ぶりに再会する。正しくはザンクト・ペーター・ウント・マリア大聖堂。1996年に世界遺産となった。
  • DOMはケルン中央駅を出てすぐのところにある。容易には視界に納まらない規模の巨大な聖堂である。何度見ても息を呑む。着工から完成まで(資金繰りの都合で中断もあったが)六百数十年を費やした建造物である。

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でかい。

  • 以前来たときは、大聖堂の麓に小さなカメラ屋がぽつんとあった。カメラを持って来なかった旅行者、訪問者がその場でカメラを買ってしまうくらいの存在感なのである。
  • 今はiPhone(2007年リリース)も普及して、誰もが手軽に高画質の写真を撮れる時代である。あのカメラ屋はもうないのだろうな。一抹の寂しさを感じながらDOMの周囲をぐるりと廻ってみれば、以前見たときの三倍程度に拡張したカメラ屋が相変わらずそこにあった。

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景気良さそうで何よりである。

 

アムステルダム旅行記 [8] オランダ商人の押し出しのこと

  • 運河に面した建物には間口税と呼ばれる税金が課された(16世紀)。当時のアムステルダム市民は間口を極力狭めて、奥行きを広くとった。スペースがありさえすれば、間口のみ狭く、奥は広くといった家屋設計とした。節税対策である。
  • 一方、富裕な商人は必要以上に間口を広くとることもした。己の財力の誇示であり、商人としての押し出しであろう。窓は上部ほど小さく造られている。遠近法で実際よりも高く見えるようにだそうだ。
  • 間口が狭いので家具の出し入れには工夫が要る。引越時には窓から直接搬入するのだ。建物の上部に鉤が取り付けられており、ロープを使い、吊り下げて家具の出し入れ行う。

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鉤付き

  •  アムステルダムは砂地であるため、古い建物のなかには傾いてしまっているものもある。しかし現在も普通に住居として使われているもようである。
  • よく見ると道側にも傾いている。地盤がやわらかいとたいへんだ、と思っていたら、家具の出し入れの際に外壁に傷がつかないよう、あえてオーバーハング状のつくりとしているのだという。

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傾いている

アムステルダム旅行記 [7] 運河のこと

  • オランダといえば運河である。
  • 干拓に用いられた水路であり、輸送路であり、居住空間でもある。

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夜明けの運河。

  • 水の上に住むとはチャレンジングであると思うが、新たな居住用ボートの認可は下りないため、現在のボートハウスは豪華な内装の高級住宅となっている。
  • 運河の交差点が方々にある。
  • 7つの橋が連なって見えるポイントがあり、運河クルーズの名所となっている。
  • 運河に面した建物の幅が狭い。間口の広さに応じて課税された「間口税」制度の名残りであるという。

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課税標準が間口の広さだった。文字通りの外形標準課税である。

  • 早朝、運河沿いを歩いていると脚にかゆみを覚えた。蚊は多くはないというが、年によっては大量発生するらしい。運河クルーズに参加したとき、運河沿いにたたずむ人たちのなかに脚を掻いている人を複数人見かけた。
  • 水質は清浄というわけではなくて、なるほど大都市のなかの川である。プライベートな船でクルージングを楽しんでいる人たちが、水着で泳いでいる姿もまれに見かけた。アムステルダム阪神が優勝でもしたのだろうか、とか思った。
  • 運河には基本的に柵など設けられていないので、車の転落事故もたまに起こる。運河に転落し命を落とす人もいると聞いた。運河沿いを歩くときはうっかり禁止である。

アムステルダム旅行記 [6] 上空から見たオランダのこと

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  • きれいに区画された農地が見える。緑の各区画にそれぞれ家屋が配置されていて、農家の家だろうか畜舎だろうか、陽光に映えていて美しかった。
  • 幹線道路沿いには風車が等間隔で配置されていたりして、整っているなあという印象。これまで訪れた国のなかで、上空から見る風景の美しさは一番であると思った。
  • スキポール空港干拓によって生み出された土地の上につくられた。一七〇年前は湖の底だった。こうした土地はオランダ全土の二割に及ぶ。「世界は神がつくったが、オランダはオランダ人がつくった」といわれるゆえんである。

アムステルダム旅行記 [5] 租税回避スキームのこと(ダッチ サンドイッチ)

  • ちょっと前、アップルやグーグルといった多国籍企業が租税回避の仕組みをつくり税負担を不当に軽くしているとして話題になった。
  • そこで用いられていた手法が「ダブル アイリッシュ ウィズ ダッチ サンドイッチ」なるものである。
  • 私も今回せっかくオランダに来ているのだから、これを機にダッチ サンドイッチに手を染めようと思った。次のとおりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

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ダッチサンドイッチ

 

 

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これもダッチサンドイッチ(ウィズ サラダ)

 

  • おいしい手法である。

アムステルダム旅行記 [4] レンブラントの夜警のこと

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国立美術館アムステルダム中央駅からトラムで約10分。

  • 現存するフェルメールの作品は多くはなく、彼の作品か疑われているものを含めても四〇点に満たない。これらのうち四点が、ここアムステルダムにある。
  • そのはずなのだが、いくら探しても三点しか見当たらない。「恋文」と題された画がどこにもない。インフォメーション カウンターの女性に訊ねると、現在貸し出し中とのことであった。今はダブリンにあり(2017年9月まで)、次はワシントンD.C.へ向かう予定なのだという。アムステルダムに戻ってくるのは早くとも2018年11月になる。
  • こういうことは事前に告知しておいてほしいものだが、なかなかわからない。実際に足を運んで初めて、そこにあるはずの画がないないというのはよくある話である。
  • できることなら避けたい事態である。しかしどうしようもないので、またこの都市を訪れる理由ができたと前向きにとらえることにした。
  • フェルメールもいいのだが、それ以上に僕はレンブラントが好みである。美術の素養などまるでなかった自分であるが、十四年前ロンドンで英国王室所蔵というレンブラントの作品を観たとき、世の中にはすごい画があるものだと驚いたのだ。
  • なかでも今回観ることのできた「夜警」の解説が興味深かった。

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美術館内。奥に「夜警」。

  • 暗い背景から夜警と題されたが、描かれているのは日中の自警団の様子である(タイトルは画家が付けたものではない)。
  • 集団の中にベレー帽をかぶった男が片目だけ覗かせているが、その人物がレンブラント自身である。

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レンブラント本人(中央・片目のみ)

  • レンブラントが受注したのは火縄銃手組合からの集団肖像画であるが、画中の人物の扱いに軽重があり、光の当てられた人物がいる一方で、影のなかに沈んだままの人物もいる。レンブラントはそれ以前の表現手法と異なり、集団肖像画の中に動きやストーリー性を持たせた。
  • この画の代金は払ってもらえたのだが、画中で軽く扱われた組合員の不興を買い、これ以後その組合からレンブラントに発注されることはなかった。
  • 1975年にUnbalancedな男によってナイフで傷をつけられたことがある。 ”Unbalanced”とはどういう意味だろう?画の近くでよろめいて、たまたま手に持っていたナイフで傷つけてしまったとかだろうかと解説文を読んだときは思ったが、精神が不安定な男が切り付けたということらしい。
  • ところで当美術館には、この画にはいくらの値がつけられるかという問い合わせがよくあるが、価格など付けられたものではない。そもそもこの画は売りものではないのだ!とのこと。

アムステルダム旅行記 [3] 今そこにある危機について

  • 今回のアムステルダムへの滞在中、宿にはヒルトン ダブル ツリーを押さえた。アムステルダム中央駅から歩いて5分かからない立地で、電車利用にも便利である。何より朝食のおいしいところ(朝食の評価が高いところ)という点に重きを置いて選んだ。実際食べてみれば評判通りに上質で大正解であった。また、ストリートビューで駅からの道を確認することも容易で安心感があった。

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おいしいホテル

  • 日本を発つ直前にアムステルダム中央駅のすぐ前で車の暴走があり、8人が重軽傷を負ったというニュースをCNNで見た。軽く緊張感を覚えたが、どうやら過失によるものでありテロリストによる犯行ではないもようである。

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アムステルダム中央駅(東京駅のモデルになった)

  • 自動車を凶器として用いたテロ行為が最近目立つので海外渡航時には注意が必要であると、外務省からの注意喚起もあった。もちろんその通りなのだが、多くのものは不満を募らせた個人が政治目的などなく、無差別大量殺人を企てて実行に移し、それをテロリスト集団がうちの構成員の仕業だと後追いで犯行声明を出しているようにも見える。
  • ところで2015年の秋、トルコのイスタンブルを訪れたが、出国直後に首都アンカラで爆弾テロがあった。その翌年にはイスタンブルの新市街と旧市街で爆弾テロがあった。
  • 今回、アブダビへ向かう飛行機で隣り合わせた年配の男性は、これから一人でイスタンブルへ行くのだ、黒海まで足を延ばしたいと楽しそうであった。テロの危険性についてどう思うかとさりげなく水を向けたところ、そんなことを気にしていたらどこにも行けないだろうと、気にした風でもなかった。
  • 数日前、アムステルダム国立美術館で知り合った南アフリカ出身で今はイギリスへ留学中という青年は、テロに対して恐れを以て応じるのはあやまりで、日常生活をこれまで通りに続けることが大切なのだと語ってくれて、その通りだなと学ばされた。テロ行為をむやみに恐れることはテロリスト集団を益することにつながる。
  • また現実問題として、テロに遭遇することよりも交通事故に遭う確率の方がどうやら高い。紛争地帯や治安の極端に悪い地域へ興味本位で近づくのは論外であるが、そういうのでなければ交通事故こそ警戒すべき最もリスクの高い事象だろうと考えて過ごしている。