人生は旅のようなものだと思う。喜びを目的とする旅である。幸福を目指すのでもいい。
では幸福とは一体どんなものをいうのか。幸せって何なのでしょうねと先日、知人の会計士さんから問われて、そういえばショーペンハウアーが教えてくれたなあと鮮やかに思い出した。
以下、私自身のための覚書である。
(アルトゥール・ショーペンハウアー「幸福について」より)
- 苦痛のない状態にあって、しかも退屈がなければ、大体において地上の幸福を達成したものとみてよい。それ以外はすべて架空だからだ。
- 最も幸福な運勢の人は、精神的にも肉体的にもそう極端に激しい苦痛を知らずに一生を過ごす人であって、最大級の激しい喜びや大きな享楽を授けられた人ではない。
- 一生の総決算を幸福論的な見方に立って引き出そうとする場合、自分の享楽した喜びによって勘定を立てるべきでなく、逃れた災厄によって勘定を立てるべきである。
- もとより人生は本来、楽しむべきものでなく、克服し始末をつけるべきものなのである。
- この世をいわば地獄と思い、この地獄のなかに業火に耐える一室を築くことに専念する人の方が、はるかに迷いの少ない人だと言える。