香港・台湾 旅行記 [9] - 台湾のバスについて
台北市、バスで難儀
- 台北はバスが便利と聞いた。台北市で最も充実している交通機関はバスであり、市内にはバス路線網が張り巡らされている。
- 台湾桃園国際空港から台北市内のホテルまで、移動はどうしようかと考えた。タクシーならば片道1,300台湾ドルくらい、バスならば一人90台湾ドル程度。コスト競争力でいえばバスの圧勝である。それならばと、空港から出るリムジンバスに乗り込んだ。
- 次は△□停留所~△□停留所~とアナウンスがなされるとか、電光掲示板に停留所名が表示されるとか、きっと何かあるだろうと思っていたのだが、そういうものは一切なかった(電光掲示板らしきものはあったのだが動作することはなかった)。
- リムジンバスのはずなのだが、地元らしき人々がカジュアルに乗り込んできて、あ、この辺で降りるわ、といった風情で降車していく。何をどうすれば目的のホテル近くで降りることができるのか、僕たちには見当もつかない。持参した地球の歩き方を無意味に眺めても薄暗い光の中、目を悪くするのが落ちである。
- 信号待ちのタイミングで、運転の支障にならぬよう気を付けながら、バスドライバーに声をかけた。運転中申し訳ない、「中山北路、南京西路、交差点」で降りたいのだと伝えた。筆談である。
- 「チョンシャンベイルー(中山北路)、分かった、着いたらアナウンスする」と、バスドライバーは親切に応えてくれた。少なくとも乗り込んだバスは正しいと分かってひと安心である。
- その後しばらく走り、中山北路に入ったところで「着いたよ」と教えてもらい、降車した。問題は、「中山北路」しか通じていなかったことだ。中山北路は台北市を南北に走る長い道である。
- 地図を見れば、ホテルの近くにスタバがあるはずだ。あったスタバだ、あの近くだ、いやない、どこにもない、などと右往左往した後、結局タクシーを拾った。そこから車でさらに15分くらい走ってようやくホテルに着いた。
日月潭、バスで難儀
- 後日、台中市の東にある日月潭へバスで向かうときも難儀した。日月潭のバスターミナルまでであれば、台中駅から出ているバスの終点なので分かりやすいのだが、今回とった宿は、ターミナルから見て湖の対岸にある。湖畔沿いの道を、地元のバスが普通に走っている。
- バスに乗るまではいいのだ。降りるのが難しい。時刻表とにらめっこし、バスが止まったところで、(時刻的に)ここはこの停留所でまちがいないかとバスドライバーに確認するも、彼は遠視でパンフレットの文字が見えなかったりする。
- 面倒な客だとばかりに降りろ降りろといわれたりもする。大荷物を抱えて湖畔で降ろされても困るのである。食い下がって確認を求めると、いやここではない、次の停留所だとかいう。
- 何とか目的地の宿にたどり着いたのだが、綱渡りをやり遂げたような気分であった。やり切った、という充実感がなかったといえば嘘になるが、大して意味のない偽りの充実感である。
- 僕は考えごとをするために旅に出るのだが、この日は移動がすべてであった。
バス車内は防犯のため録画されていた。「録影中 請微笑」
- 帰国後、「台湾のバスは便利なのだが、地元の人でも乗りなれた路線以外は難しくて使いこなせずにいる」ということを知った。